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アデランスの上場廃止のニュースから見る、かつら・ウィッグ市場の推移と現在の話。男性市場は微減少ですが、女性市場はまだまだ成長しそうな感じです。

今年(2017年)の2月10日、MBOを実施したアデランスが、ついに上場廃止になりました。

MBOとは Management BuyOut(マネジメント・バイアウト)の略で、「経営陣による買収」という企業買収の一つです。

アデランスがMBOを行なうのは、自社の株式を上場廃止し、そうした上で経営改革などに集中して会社の経営再建を確実に進めるためです。

つまり、アデランスはそうせざる得ないほど業績が悪化していた、というこになります。

アデランスはかつら・ウィッグなどの毛髪業市場においてトップクラスの大企業です。その企業がどうしてこうなったのか、髪の毛に関わる者としては非常に気になります。

そこで今回はアデランスの上場廃止から見た、かつら・ウィッグの市場のことについて考えてみたいと思います。

毛髪業(かつら・ウィッグなど)の市場規模と推移

アデランスやアートネーチャーなど、かつらやウィッグ、増毛・育毛サービスなどを事業としてあつかう業種を毛髪業と言います。

参照リンク:〔日本毛髪工業協同組合〕毛髪業界とは

この毛髪業の市場について調べていきます。といっても、このアデランスMBOのニュースが流れたとき、それに関する記事がいろいろ出てるため、知っている方も多いと思われます。

簡単にまとめますと、次のとおりです。

  • 市場規模は約1400億円。現在も緩やかに拡大中
  • 女性向けウィッグの成長がよく、規模も男性向けを上回っている
  • 近年は参入企業が多く、競争が激化している

毛髪業の市場は約1400億円の規模があります。これがどれぐらいの規模か数字だけでは分かりにくいですが、同じ程度の市場規模は日本プロ野球の全12球団の売上高*1なので、それで何となくイメージできるでしょうか?

市場の推移で言えば2007年頃をピークに*2不景気の影響などで約1300億円ほどまで減少します。ですが2011年頃からは再び増加しはじめ、現在にいたるまで緩やかに増加傾向で推移しています。

この成長を支えているのが女性向け商品です。女性向け商品は2012年から急激に伸びはじめ、翌年2013年には男性向け商品の市場を上回り、今でも緩やかに成長しています。

カツラ自体は男性のイメージが強いと思われがちなのですが、実際は確認できる2007年頃から現在にいたるまで、非常に緩やかではありますが確実に減少しています。

この女性向け商品の成長とともに、アデランスの業績は一時すばらしい回復をしました。しかし2014年頃からこの女性向け商品、特に女性向けウィッグの市場に多くの会社が参入するようになります。

この競争の激化によって、女性向けウィッグの市場は非常に活気づきます。ですが同時にそれはアデランスの顧客をも奪う結果なり、業績が急激に悪化していきます。結局それれらの要因によって、アデランスはMBOおよび上場廃止になりました。

ここらへんはアデランスやアートネーチャーといった企業のIR資料*3で確認できます。

今の毛髪業市場の現状と変化

市場の推移は大まかにはこんな感じです。では今の市場の現状はどのようになっているのでしょうか? 男性、女性と市場を分けて考えてみます。

女性市場の急激な変化

1番目を引くのは、やはり女性向け商品の市場です。

現在、この市場では1万円を切るどころかフルウィッグ*4で3~4千円前後といった超低価格ウィッグがでてきています。

女性の場合、おしゃれの一つとしてウィッグを使う方も多くおられます。そのような方の場合、男性用のように頭の形に合わしたオーダーメイドのウィッグが必要ありません。気軽にかぶれるウィッグでも十分なのです。

とくに女性向けウィッグは高齢の方に受けいられています。1番の問題は最初購入するときに、すごく抵抗があることだと言われています。そのハードルを下げる効果も低価格ウィッグにはあり、当然それを狙っての価格設定だと思われます。

この市場は確実に高齢化に向かっている日本において、高齢化にともなって市場が拡大する数少ない市場です。なのでこの先、参入他社や市場競争は激化することは予測され、これは私たち消費者にとっては、うれしい話でもあります。

男性市場は、ゆるやかに縮小傾向

本来、この毛髪業の主役は男性で、市場も非常に活気がありました。実際、1990年代では男性向けの商品(かつら・増毛)が主役で、しかも市場の成長もかなり良かったようです。

参照リンク:薄毛に悩む若者たち ~800億円・膨張するかつら市場~ - NHK クローズアップ現代+

ですが市場の推移から見ても分かるように、市場規模は徐々に減少しています。

男性にも女性向きほどではありませんが、オーダーメイドの低価格ウィッグはあります。なので理屈で言えば女性市場のように高齢化にともなって、もっと活気づいてもいいはずです。

ですが現状は緩やかに減少しています。

これは女性市場とは違い、男性市場では新規の購入者の人数がかなり少なくなっているからだと考えられます。

この要因には男性型脱毛症に対する有効な治療法の出現や、男性のかつら離れや意識の変化など、いろいろ考えられます。

特に意識の変化は大きいのではないのでしょうか。私の観測範囲でもカツラをかぶるよりボウスにしている方が多くおられます。

この要因には男性型脱毛症に対する有効な治療法の出現や、男性のかつら離れや意識の変化など、いろいろ考えられますが推測の域はでません。

個人的な感覚でいえば、特に意識の変化は大きいのではないのでしょうか。私の観測範囲でもカツラをかぶるよりボウスにしている方が多くおられます。

社会においてもボウズヘアーが広く認められてきたというのもあります。以前は社会人でボウズはあまり良くないとされていましたが、最近ではそれほど厳しくありません。おしゃれボウズとかもありますしね。

市場自体は、医療用や舞台用などといった一定のニーズが確実にありますので、無くなるなんてことはありません。ですが、もっとも購入が期待される若い世代の購入が確実に減っています。このような変化により男性向け市場はかなり緩やかに減少しています。


このように市場は少しずつ、しかし確実に変化しています。社会の変化にともなって市場もこのように変化しており、たいへん興味深い内容です。

これからも毛髪業およびヘアケア市場について、その動向を注目していきたいと思います。

出典・参考元リンク

*1:参照リンク:朝日新聞GLOBE|プロ野球ビジネスどこへ -- 日本/プロ野球

*2:この年の市場規模は1500億円ほど。

*3:Investor Relations の略でInvestorは「投資家」、Relationsは「関係」という意味。日本では「投資家向け広報」とも訳され、投資家に向けて株式会社が公開する情報のこと。

*4:前髪や頭頂部といった一部分だけではなく、頭部全部をすっぽり包むタイプのウィッグ。

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