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髪の毛が成長する過程まとめ! 毛母で生まれた細胞が毛包内でさまざまな工程を経て髪の毛になっていきます。

髪の毛は、そのほとんどが日々活発に成長していて、1日に0.3〜0.4ミリほど伸び、1ヶ月で約1〜1.2センチ、1年では約12〜15センチほど伸びるとされています。

これはすごい成長スピードで、髪の毛根部分にある髪の製造工場である毛母では、人体の中でもトップクラスで活発に活動している部分なのです。

では、その頭皮の下の毛根部分で、髪はどのように作られ、どのように成長しているのでしょう?

今回はその、髪の毛の成長に関するお話しです。

今回は毛根部分にあるさまざまな器官や組織の名称が出てきます。これらの名称と役割など詳しいことは別の記事に書いてありますので、もし分からないことがあれば、こちらの記事をご参照ください。

また髪の毛自体の構造も関係してきますので、これれの記事もご参照してくだされば、より理解が深まるかもしれません。

それでは髪が作られ成長していく過程を、順を追って見ていきます。

髪が成長していく過程

毛乳頭周辺

髪の毛の元は毛母細胞で作られています。毛乳頭周辺にある毛母細胞は毛乳頭から栄養をもらいながら活発に分裂・増殖していきます。

この分裂によって細胞はどんどん増えていき、その増えた分だけ毛髪はどんどん下から押し上げられていきます。

つまり髪の毛が伸びるということは、毛母細胞がどんどん増えて髪を押し上げていくということです。言いかえれば、毛母細胞の増殖が髪の成長だと言えます。

この毛乳頭周辺で細胞分裂を活発におこなっている部分を増殖帯などと呼ぶ場合もあります。

ちなみに、このとき増殖した細胞は、すでに毛髪内で何になるか決まっています。そして分裂と増殖を繰り返しながらその器官や組織へと変化していきます。これれは最終的にはメデュラ(毛髄質)、コルテックス(毛皮質)、キューティクル(毛小皮)、および毛根鞘などになります。

毛球部分

毛母細胞で分裂・増殖して生まれた細胞は、毛球内でさらに分裂と増殖を繰り返しながら皮膚の表面方向、つまり上へとあがっていきます。

このとき細胞は、上がるにつれて形が縦に長くなり始めます。ちなみに、このように皮膚や髪の毛といった角質*1に変化していく細胞を角化細胞またはケラチノサイトと言います。

また、この段階では早くも内毛根鞘・外毛根鞘が形成されてきており、これらはまだ完成してい状態の髪の毛の周りをかこんで支える役割をします。

この部分ではまだ細胞分裂が活発におこなわれているため、このあたりを分化帯細胞分裂帯などと呼ぶ場合があります*2*3。このような活発な活動は、上に移動するにつれて徐々におさまってきます。

ちなみにこの部分では細胞核やミトコンドリアなどの通常の細胞に見られる構造物がまだあります。これらは角化するにつれて破壊され、それらがあった形跡が毛髪内に見られる場合があります。

毛球より上の部分

毛球から出るあたりから角化帯と呼ばれる部分に入ります。この部分に入ると細胞はすぐに角化しはじめ、本格的に髪の毛の細胞へと変わっていきます。

特にコルテックス(毛皮質)になる細胞は角化帯に入るとすぐに変化が始まります。細胞内には繊維状の構造を持つ組織、いわゆるケラチンタンパク質が表れはじめます。

これらは細胞が上に移動するにつれて平行に並びながらどんどん集まり積み重なっていきます。これらは最終的には中間係フィラメントという繊維の束になります。

やがて細胞内では硫黄(イオウ)が多いタンパク質が作れれはじめます。髪の毛が燃えると鼻をつく臭いがしますが、それはこの硫黄成分のが多いためです。この成分は後にタンパク質同士を強固に結びつけるシスチン結合の元となります。

そして最終的には、これらのタンパク質に生成も完全に止まります。細胞の変化はさらに進み、細胞内部のタンパク質は圧縮され、水分が抜け、シスチン結合によって強固につながります。細胞核やミトコンドリアなとの細部内構造物は破壊され、いわゆる「死んだ細胞*4」へと変化していきます。

こうして私達がよく知る、硬さと柔軟さを兼ね備えた性質を持った毛髪ができあがるのです。


このように髪の毛は頭皮の中のもう毛包内で作られます。頭皮の厚さはだいたい2~3mmですので、この短い間で作られてます。

余談ですが、記事の最初に髪の毛が1日に伸びる速さを0.3~0.4ミリと書いていますが、文献や資料によっては0.3~0.5ミリや0.6ミリとしているものもあります。

実際のところ髪の毛は人種、個人、年齢、時期、環境、性別、生えている場所などによって大なり小なり違いがあります。つまり髪の毛のこのような数値は、その性質的な差が多く大きくあることで計測結果がその都度微妙に変わってしまうためだと思われます。

つまり髪の毛に関するこの手の数値は、細かいところでまちまちになる場合がけっこうあるのです。

ですので髪に関係した数値などは「これぐらいなんだ」と、ある程度アバウトに捉えていただけたら幸いです。

以上、髪の毛の成長に関するお話しでした。

*1:サイの角のように、硬い性質を持つ外皮のこと。人間では毛髪や皮膚、爪などのこと

*2:先ほどの毛乳頭周辺部分もふくめる場合もあります。

*3:分化とは細胞分裂しながら複雑で異なるものに分かれていくこと。例えば卵は元は一つの細胞ですが、細胞分裂を繰り返し変化していくことで内蔵や骨といった別の構造物へと変化していくこと。

*4:死んだ細胞とは、細胞分裂などの細胞活動ができなくなった細胞のこと。角化した角質細胞は今後分裂など細胞活動ができない状態になっているため、死んだ細胞だと言えます。

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